東京都立大学理学部牧野標本館（MAK）について

　牧野標本館は、日本の植物分類学の基礎を築いた故牧野富太郎博士（1862〜1957）の没後に遺族から寄贈された約40万枚の未整理標本（牧野標本）をもとに、1958年に設立されました。牧野標本は日本のほぼ全域から採集された標本であり、同博士が新種として発表した植物のタイプ標本の一部や、今では見ることのできない明治時代の植物標本が数多く含まれているという点で、極めて貴重です。現在ではほとんどの標本が整理され、重複標本を除いた16万点が標本館に収蔵されています。

　当標本館にはこれらの牧野標本を中心に以下のような標本が所蔵されています。

• 牧野博士による採集品の他、同博士の下に同定依頼や寄贈などで全国から送られてきた標本。1881年から1950年頃までの採集品で、牧野標本とともに寄贈されたものです。
• 牧野標本の重複標本などをもとに、国内外の標本館との標本交換によって入手した標本。
• 牧野標本館を兼務する植物系統分類学研究室のスタッフや学生及びその関係者による採集品。小笠原諸島、南米、ヒマラヤ・中国地域、中央アジアなどの研究プロジェクトで採集された標本を含みます。
• 学外の研究者や採集家から寄贈され、もしくは購入した標本。共立薬科大学から寄贈された故桜井久一博士のコケ類標本約2万点（タイプ約600点を含む）、故東道太郎博士寄贈の藻類標本約1万点、ロシアのコマロフ植物研究所から交換標本として送られたP. F. シーボルト（1796-1866）標本の一部（約2500点）、伊藤秀三博士のガラパゴス植物標本（約1000点）、共立薬科大から寄贈された維管束植物（約3000点）、伊東金士氏の九州祖母山系植物標本（約2300点）、今堀宏三博士の車軸藻標本（約1600点）など。

2000年3月時点での整理済み標本点数は以下の通りです。

• 維管束植物　299,075点
• コケ類　　　16,300点
• 藻類　　　　21,610点

　植物標本の所蔵点数では、現時点で日本国内の大学付属標本館で４番目のレベルにあり、国際略号MAKとして認知された主要な標本館のひとつです。

牧野標本館

晩年の牧野富太郎博士（90歳頃）