タイプ標本とは

 タイプ標本(基準標本)は記載の仕方によって以下のように分類・定義されます。

Holotype(正基準標本):命名者が命名法上のタイプとして使用または指定した1枚の標本。
Isotype(副基準標本):holotypeの重複標本。
Syntype(等価基準標本):命名者がholotypeを指定せずに複数の標本を引用した場合、そのすべての標本。
Lectotype(選定基準標本):命名者がholotypeを指定しなかったか、またはholotypeが失われた場合に、holotypeの代わりとして選定された1枚の標本。isotypeがあればそれをlectotypeとして選び、isotypeが無くsyntypeが存在するなら、その中から1枚の標本をlectoptypeとして選定します。
Paratype(従基準標本):typeが指定されている場合、原著論文に引用されている残りの標本。
Neotype(新基準標本):holotypeもisotypeもsyntypeも失われた場合、新たに指定したタイプ標本。

 なお、Topotypeはタイプと同じ場所で採集された標本であり、これは命名法上のタイプには当たりませんが、type locality(基準標本が採集された場所)の情報を知ることができます。

 牧野標本館に所蔵されているタイプ標本はsyntypeが多いため、その中から新たにlectotypeを選定する必要があります。

 また、発表された学名の中には、(命名規約上)正式に判別文や記載文が発表されていないことがあり、"nomen nudum" または "nom. nud."(裸名)という言葉が加えられることになっています。

参考資料

大橋広好訳( 1994)「国際植物命名規約(東京規約)」 津村研究所