著作権の問題

文献を画像として複写しインターネット上に公開するためには、著作権の問題をクリアしなければいけない。本計画では「古い本」と題して著作権が既に失効している本を対象にデジタル化を行っている。日本国内では平成10年1月1日から「インタラクティブ送信」に係わる著作権の権利が拡大され、インターネット上においても著作権がより明確に保護される形となった。インターネットは誰もが「公衆放送」を行うことが出来るメディアだが、著作権問題には十分に配慮されることをお勧めする。

著作権の期限

さて、著作権が切れているかどうかをどのように判定すればよいのであろうか?多くの場合著作権には期限が有り、それを過ぎれば失効することが明記されている。国際的には「ベルン合意」と「UCC」が判断の基本に成る線のようである。日本の国内法における期限はベルン合意同様著者の死後50年と決められている。もっとも文献数の多い米国に関しては、別途期限が設定されていてUS Copyrith Officeのホームページから詳しい解説を得ることが出来る。特にCopyright Information Circulars and Form Lettersにはpdefとして分かりやすい解説が多く掲載されているので、参照されたい。

以下に、目安となる期限を簡略化してまとめた。(実際の判定には、更に詳しく調べる必要が有る)

ベルン合意 著者の死後50年 1948年以前は著作権切れ
日本 著者の死後50年

米国

(現在著作権が有効な場合は、2020年までは失効しない)

1922以前の著作 著作権切れ
1923-1977で、著作後28年間に著作権の更新がなされていないもの。 著作から28年後に著作権切れ 更新された場合は、著作後95年間有効
1978以降 著作者の死後70年

復刻本の著作権

学術上の名著はしばしば復刻本が出版され、その結果著作権が延長されたように思われがちである。しかし、復刻本に置いて新たに発生する著作権は、その時点で新たに追加された部分のみに限定され、原著の著作権の期限には影響を与えない。例えば、Jennings(1904)については1977年に復刻本が発行されているが、原著についての著作権は相変わらず消滅している。

今回デジタル化した文献について

Kahl (1930-1935)の文献については、著者の死後(1946)50年を経過しているので、ベルン合意に基づくと、著作権が切れていることになる。出版はドイツで行われているが、ドイツもベルン合意批准国である。

Jennings(1904) については、著者の死後(1947)50年を経過し、出版国(米国)の法においても著作権は消滅している。また、初版の出版社にメールにて問い合わせたところ、著作権は保持していないとの回答も得られた。

参考リンク

文部省著作権審議会文化庁著作権制度保護期間)・日本国著作権法

世界知的所有権機関(WIPO)


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