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大発掘!9月に入った時点で、無事2300標本の撮影を終え、残すは400件ほどの硬骨魚のみとなった。9月は、小生がオフィスでデータ整理を行い、その間にアンドレアが未整理の魚類標本のリストアップをする事にした。そこで、なかなか感度的な大発見に遭遇した。 謎の23番キャビネットもともと、23番キャビネットは未整理の魚類標本の置き場である。ここに、20世紀初頭に大きな功績を残したロ・ビアンコ Salvatore Lo Bianco (1860-1910) の標本が眠っている事が判っているた。ただ、ざーっと標本ビンのラベルをサーチしたところ、ロ・ビアンコの名前がふられたビンは一本だけで、後は単なる未整理標本とも思える雑然とした標本に思われた。
ロ・ビアンコの足跡さて、これらの標本をどう整理したものかと思案し、とにかく3〜4個の魚の発生過程を、綺麗な展示標本としてリストアする事にした。そのため、ビンの内部の試験管を取り出し、アルコールの交換をしたり、内部に標本と一緒に保管されたメモを解析して、ロ・ビアンコの時代の標本を探す事にした。 そんな作業を始めて二日目に、アンドレアが貴重なメモを見つけてくれた。メモには「Disegnati (英語でDrawn、描画済み)」と書かれている。そこで、ロ・ビアンコ業績をまとめたモノグラフ「Lo Bianco S. 1931-1933 - Uova, Larve e Stadi Giovanili dei Teleostei. In: Fauna e Flora del Golfo di Napoli. Monografia No. 38, parte I e II. Stazione Zoologica di Napoli. 」をチェックしたところ、まさに彼がその標本を使って描画を行っている事が判明した。つまり、百年前の学術書の描画に使われた標本の現物が、まさに目の前に有るわけだ。
ロ・ビアンコの実験所における活動は、実験所のWeb pageから読み取る事ができる。 他の標本に見るロ・ビアンコのこだわり既に撮影済みの標本から、ロ・ビアンコ標本を抽出してみると、どれもヒモやスライドグラスを使って、綺麗に位置決めされた標本ばかりだ。背景を黒くする事がしばしば行なわれている。 将来プロジェクト どうやら、今回発掘した標本は氷山の一角である可能性が高い。しかし、残念ながら今回のプロジェクトの期間で、全ての標本のリストアはできそうも無い。今回の発見の重要性を鑑みて、将来プロジェクトとして、ロビアンコ標本のリストアを目指すべきであろう。 (2006年9月6日) |