その他の資料にお宝続々!
標本のリストアップがほぼ完了し、過去の標本リストの調査に入った。博物館内には、未整理とも思える文書がごろごろしていて、それらを一つ一つひも解く作業だ。
最初のお宝:ガラス板ネガ
もともと、23番キャビネットは未整理の魚類標本の置き場である。あれこれと探して行くうちに、過去に出版された本のネガフィルムに混じって、ガラス板ネガが出てきた。セルロイド製フィルムの発見が1888年、それが普及したのが1900年初頭である事から、この手のガラス板フィルムは相当古そうである。歴史アーカイブ部門のグレーベン博士に聴いた所、実験所では1900年の一桁くらいまではこの手のガラス板フィルムが使われていたらしい。当時の写真店の封筒とベタ焼きなど、興味深い品々が箱から出てきたのには驚きであった。
続くお宝:Arturo Palombiの原画
写真の入った箱の一部には「Palombi, Arturo - Gli animali commestibili dei mari d'Italia : descrizione, biologia, pesca, valore economico e nomi italiani dialettali e stranieri dei pesci, tunicati, echinodermi, molluschi, crostacei - U. Hoepli - 1961」の原画が入っていた。アンドレアによると、Palombiはイタリアの偉大な魚類研究家の一人のようである。
原画と復刻本の該当ページ
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原画がぞろぞろ、と言った感じ |
ロ・ビアンコ時代の調査ノート
1901年から数年間分の採集生物の記録ノートが3冊出てきた。採集方式(使用したネットの種類など)・採集場所・採集された生物の種名リストが克明に記載されている。中性紙とは、長持ちするものだと驚くばかり。
時代を感ぜさせるノートは、驚くほど保存状態が良い。
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中身の記載も、はっきり読み取れる。いまいちと思われる方は、データベース公開を楽しみにして頂きたい。 |
19世紀の記録ノート:Colomboのノート
恐らく、当実験所所有の実験データ中最古のものかも知れない。1885年に行なわれた海中生物相調査の結果のようである。水深の異なるバンドでの発見生物種のリストが書かれているようだ。この調査は、2年後(1887年)に出版された「A. Colombo - La fauna sottomarina del Golfo di Napoli, Riv. Marittima. (1887) - p 1 - pp1-107.」等のデータとされたようだ。
今後の予定
今回の滞在はあくまでも「多様性研究のためのデータベース」作製で、歴史とか文化財と言ったものを扱う事までは予定に無い。しかし、発掘してしまった資料については、或る程度の容器を用意して標本同様の管理ができるようにする予定である。
標本そのものの解析と同様、データベースを通じて興味を持たれた方が、その後の研究活動へと発展して頂ければ幸いである。とは言っても、実験所との共同研究の許可が必要に成るが...
(2006年9月24日)
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