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Paestum(パエスタム)

8月13日(日)久々に遠出をした。ナポリから電車で90分、約100km程南に位置するPaestumは、イタリアでもシシリアについで有名なギリシャ神殿の遺跡だ。Trinitaliaと言うサイトで、イタリアの鉄道の時刻表が判るように成ったので、ネット上でいろいろな遠足のシミュレーションができる。その中で、日帰り可能な観光地を探して行ってみる事にした。ちなみに、パエスタムは1998年に世界遺産に登録されたらしい。

もともと、巨大な建造物を撮影するチャンスを狙って、日本から超広角レンズ( Super Wide Helier 15mm)とそれを装着する RD1を持ってきていた。リコーのGRD28mmでほとんどの旅行はまかなえるので、今回まで登場の機会が無かったが、今回は有名な観光地なのでこれ見よがしにカメラを構える事も可能と判断してRD1を持って出かけ
る事にした。

ローカル線の駅から歩いて15分

パエスタムの遺跡はローカル線のパエスタム駅から歩いて15分の所に有る。駅の回りには何も無い。畑に囲まれた遺跡の発掘地を通り抜けると、そこが低い柵で囲まれた遺跡公園で、隣接して出土品を展示する博物館が建つ。博物館の回りには、土産品店といくつかのレストランが並んでいる。


パエスタムの駅

発掘地を示すゲートをくぐって歩く事15分

遺跡に到着。レストランやお土産屋は、せいぜい合計15軒程度。観光地としても決してメジャーでは無い。

ほとんど手の入っていない遺跡

イタリアの遺跡と言うと、ギリシア時代からローマ時代、更にルネッサンス時代の豪華な内装を施した教会、更には18世紀以降のバロック様式と、極めて長期間に渡る対象物が有るせいか、特にギリシア人に占領されていた時代の遺跡を売り物にする必要は無いようである。従って、パエスタムの遺跡は、単なる原っぱに、住居跡と思われる石の壁跡と、きっと復元作業をしたのだと思われるおっきな神殿が3つ有るだけで、順路らしい順路も無ければ、説明の看板も必要最低限しか置かれていない。周囲におっきな駐車場も見当らない。もっと金をかければ、相当の名所と成りそうだが、イタリアには名所・旧跡が多すぎるようだ。


一番小さな神殿(ケレス神殿、BC6世紀)を見渡してみた。どこを歩こうが自由だ。

左の写真を背にするように歩いて行くと、2つの巨大な神殿が見えてくる。(手前:ネプチューン神殿、奥:バジリカ)

博物館に有った空撮。

バジリカ(手前)とネプチューン神殿(中央)が見えている。跡の区画は石壁の遺跡。

生物学的発見?

写真を見てお分かりの通り、ナポリ(では無いが)では珍しく一日雨が降ったりやんだり天気で、半袖では肌寒いくらいの気候であった。時折激しく降る雨を避けるため、ローマ時代に作られ古代劇場の軒下で雨宿りした。この劇場の軒下の漆喰は侵食されてぼろぼろこぼれ落ちている。その中に、ほぼ完全な形を保つ貝殻を発見した。最初はカタツムリかと思ったのだが、2種類の貝と、それ以外に漆喰に食い込んだ形で割れている貝殻を確認したので、これは当時(ローマ時代?)に使われた漆喰に混ぜられた貝殻と思われる。徐々に起こる浸食採用のおかげで丁寧に露出されたようだ。通常は、漆喰に使われるカルシウム成分は焼いた貝殻を使うはずである。なのに、なぜ漆喰に完全な形の貝殻が混ざっているのか、理由は不明である。この貝の種類が判れば、何か新しい事が判るかも知れない。


古代劇場の軒下は雨宿りにちょうど良い。

漆喰から露出した巻き貝。直径2センチ

漆喰から露出した巻き貝。長さ約1センチ

超広角写真

15ミリ超広角レンズ( RD1だと23ミリ)で撮影した、神殿の写真。下から見上げると、上がやけに小さく写ってしまう。


ケレス神殿

ネプチューン神殿

奥行き50メートル、幅は20メートルぐらい、高さは12メートルくらい。


バジリカ

幅約25メートル、奥行き約50メートル、柱の高さは写真から類推して約8メートル

と言う事で、もともと大きな建造物を超広角で強調しても、何も面白くない事が判った。まわりは草原なので、別に超広角で無くても、距離をおいて撮れば良いだけの話し。と言う事で、一応広角的写真を一枚載せておこう。

感想

イタリアのローカル線は、時刻表通りには動かない。帰りの駅で、50分遅れの電車に乗って帰宅したら、疲れ果てていた。レストランで食べたピッツァが、ほとんど日本の喫茶店で食べるパンピザと代わらない味でがっかり。ネコが店内をうろうろできる点が、良い点かも知れないが、そのネコすらピッツァを与えても食べなかった!

ギリシア神殿、生まれた初めて見たわけだが、2500年も前にこれだけの建造物を造るとは、ずいぶんと人をこき使ったに違いないと思った次第である。しかし、あっさりした遺跡で、おかげでかえって想像力をたくましくしてくれた感じだ。頭の中で勝手にギリシャ時代の風景を思い浮かべてみたりした...