小野蘭山の標本(MAKS0239 アリアケスミレ)


ラベルにViola sumafutorigusa, Ono lansanと記されていますが、これは18世紀の代表的博物学者である小野蘭山(1729-1810)が作成したと考えられるアリアケスミレの標本です。

標本を包んでいる紙の表紙に墨で菫々菜と書かれていますが、書き手は小野蘭山、ラベルの書き手はシーボルトです。

シーボルトが初めて来日した文政六年(1823年)には、もうすでに蘭山は亡くなっていましたので、これらの標本は当時の日本人博物学者の誰かが持ちつづけていたことになります。詳しいことは不明ですが、少なくとも植物標本を蒐集し収蔵し続ける習慣が、この時代、日本にもすでにあったことを示す貴重な資料です。

シーボルトは文政九年(1826年)江戸にやって来た際に、多くの日本人研究者に会っています。おそらくこの時、これらの標本群を貰い受けたのでしょう。

この標本とは別にO.L.と記されている標本が13点ありますが、これらも小野蘭山を意味する、と考えられます。

(=>小野蘭山標本索引

牧野標本漢所蔵のシーボルトコレクション中にある小野蘭山作成標本

標本番号
シーボルトの学名<当時の和名・漢名>
箱番号
現在の学名(現在の標準和名)
1 S0048 Clematis <草本萎> I Clematis. stans S. & Z. (クサボタン)
2 S0106 Brassica oleacea L.<ハボタン、ヲランダナ> II Brassica. oleracea L.(キャベツ)
3 S0239 Viola sumafutorigusa <スマフトリグサ、菫々菜> II Viola albescens (Nakai) Makino(アリアケスミレ)
4 S0412 Chimonanthus fragrans Lindl.<ダンカウバイ、檀香梅> IX Chimonanthus praecox (L.) Link(ロウバイ)
5 S0915 Calimeris <コンギク、馬蘭> XII Aster ageratoides Turcz. var. hortensis (コンギク)
6 S0916 Climeris <ゴマナ> XII Aster glehni F. Schm. (ゴマナ)
7 S0972 Artemisia sirojomogi <シロヨモギ> XII Artemisia Stelleriana Bess (シロヨモギ)
8 S1020 Pyctrum <イヌヨモギ> XIII Artemisia keiskeana Miq.(イヌヨモギ)
9 S1396 Nepeta tenuifolia Benth. <子ヅミグサ、 荊芥> XVI Nepeta subsessilis Maxim. (ミソガワソウ)
10 S1529 Euphorbia conferre <タカトウダイ、ノウルシ  大戟> XVIII Euphorbia Sieboldianus Morr. et Dec. (ナツトウダイ)
11 S1641 Ulmus Harunire <ハルニレ> IXX Ulmus Davidiana Pl. var. japonica Nakai (ハルニレ)
12 S2175 Polygonatum atum <漢種黄精> XXIII Polygonatum sp. (中国産のアマドコロ類)
13 S2225 Labiata <ヒメハッカ 石薄荷、小葉薄荷> XVI Mentha japonica (Miq.) Makino (ヒメハッカ)
14 S2234 Lophanthus <カワミドリ 排草香> XVI Agastache rugosa (Fisch. et Mey) O. Ktz.(カワミドリ)

                                       


著作権:牧野標本館、2004