オランダ国立植物標本館


オランダ国立植物標本館は、1999年にオランダの3大学の植物標本館(ライデン大学、ユトレヒト大学、ワーゲニンゲン農業大学)が合併して設立されました。ただし、植物標本は従来通り各大学に分散して、それぞれの専門性を活かしつつ所蔵・活用されています。

ライデン中央駅からバスで7分ほどのところに、オランダ国立植物標本館ライデン大学分館があります。所蔵標本数200万点を超える大標本館で、特に熱帯アジア地域の標本を多数所蔵していることで有名です。ライデン大学分館は、かつて王立植物標本館(Rijksherbarium)と呼ばれ、世界的に見ても非常に古い歴史を持っています。この標本館に、1823〜1829年および1858〜1861年の2回にわたり日本に滞在したシーボルトが集めた、およそ2万点の植物標本が保管されています。ユトレヒト大学分館にも、シーボルトコレクションの一部が納められています。

シーボルトが収集したほとんどの標本は、最近まで世界中から集められた一般の標本と区別されることなく、分類群ごとにまとめられたカバーに一緒に入っていたので、シーボルトが集めた標本の全容を知ることは困難でした。しかし最近は、チーフコレクションマネージャーのタイセ氏(Gerald Thijsse)が中心になってシーボルト標本が抽出され、別の棚に分けて保管されています。

ライデン大学付属植物園には、シーボルト自身が持ち込んだと云われているアケビ、フジ、クサボケ、オニグルミ、サワグルミなどの古木とともに、アオキ、アジサイ、アスナロ、イチョウ、イスノキ、イヌガンソク、イワシモツケ、ウサギシダ、カツラ、キブシ、ギボウシ、クサソテツ、ゲジゲジシダ、ケヤキ、コウヤワラビ、シロヤマブキ、ツルアジサイ、トキワイカリソウ、ナンテン、ハクウンボク、ハマナス、フッキソウ、ヤマグルマ、ヤマブキなどの日本産植物も多数植えられています。


著作権:牧野標本館、2004