ビュルガー作成の標本
シイモチ(MAKS1266


シーボルトの助手ビュルガー(Heinrich Bürger 1804 or 1806-1858)が作成したシイモチの標本。

標本には花部を入れたポケット(小さな包み)と“Ilex cuspidata Sieb.”とペン書かれた小さなメモが添えられています。このメモ上の学名は現在使われていないシノニム(異名)の一つです。

この標本には、トレーシングペーパーに描かれた線画が添えられています.この線画はオランダの国立植物標本館所蔵が所蔵しているシイモチのタイプ標本(HERB.LUGD. BAT. No.904,134-52)に、トレーシングペーパーをあて、上から輪郭をなぞって描かれたものです。この線画と一緒にあった枝先の小さな標本は、タイプ標本から切り取られたものと思われます。

標本と線画は表紙の左側に筆で「加賀白山ノ産」、左下に朱筆の丸中に「十三」と記された二つ折りの和紙に一緒に挟まれています。

ビュルガーの線画は動植物標本を通じてこれだけしか知られていません。

ビュルガーは1825年、出島に薬剤師として赴任し、1827年に離日するまで、シーボルトの助手を務めていました。シーボルトがいわゆるシーボルト事件を起こして、取り調べを受けるようになった1828年、シーボルトの後任として再来日し、1834年まで自然物調査官として収集を続けていました。ビュルガーが作成した標本は、オランダの国立植物標本館に多数残っていますが、牧野シーボルトコレクションの中にもかなり含まれています。


著作権:牧野標本館、2004