『花彙』関連の標本


大河内存真は伊藤圭介の実兄ですが、師の水谷助六、弟の伊藤圭介とともに尾張の宮ではじめてシーボルトに会ったとき、シーボルトに多数の標本と島田充房・小野蘭山著の『花彙』(右写真)を贈呈しています。『花彙』は草之部4冊、木之部4冊、計8冊の見事な図譜で、各冊とも25種の精密な絵が載っている当時の最高級の図鑑でした。シーボルトは盛んにこれを利用し、該当標本に“Kwawi”あるいは“Kw.”と書き込みました。現在、この『花彙』はオランダ国立植物標本館の貴重図書室が所蔵しています。表紙に「シーボル様 進呈分」と墨筆された付箋(トが抜けている!?)が付いています。ところどころのページに、存真による朱の書き込みもあります。

シーボルトコレクション中に、“kw12”または“kwawi 18”と書き込まれている標本があります。これらは『花彙』の図版番号を表しています。このような標本が、牧野シーボルトコレクション中に24点、オランダの国立植物標本館にも10数点の標本が見つかっています。

=>『花彙』標本索引


著作権:牧野標本館、2004