大河内存真


大河内存真(1796-1883)は伊藤圭介の7歳年上の実兄です。存真もまた博物学者で『生生堂本草会目録』、『蟲類写集』などの著書があります。

大河内は尾張の博物同好会である嘗百社を創設し、様々な観察会や座談会をおこなっています。彼が仲間内で指導的立場であったことは、誰の標本であるか不明であるが、XXIV箱目に収められているキチジョウソウの標本(MAKS2362)の、台紙の左下に「尾張医官大河内存真正誤観音草また吉祥草」と記されていることから推察出来ます。

標本のラベルにO.S. あるいはO.S te Owariと記されたものがあるが、これは大河内存真、尾張の大河内存真を意味しています。

大河内存真の筆跡は伊藤圭介のそれとよく似ているので、大きい二つ折り和紙(縦33cm,横21cm)の標本で、漢数字が朱書されている標本一百十五番のイヌコウジュ(MAKS1397)や 一百十七番のクマタケラン(MAKS2199)、一百廿六番のナツタデ(現行名ウラジロサナタデ MAKS1508)や一百廿九番のヲホヤマハコベ(MAKS0201)など、混同しそうな標本もあります。

さらに、たとえラベルに採集者名がなくても標本を挟んでいる和紙が同じ、同じ大きさの標本があり、これらも大河存真作成の標本と考えられます。

=>大河存真標本索引


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