牧野シーボルトコレクション牧野標本館が所蔵するシーボルトコレクション(以下、牧野シーボルトコレクションと呼ぶ)は、縦35cm, 横 9cm, 奥行き 27cmの黒色の25個の木箱に納められています。 この木箱は厚手の書籍の体裁をしており、背表紙には“HERBARIUM MANUALE / FLORAE JAPONICAE / CURA /PH. FR. DE SIEBOLD COLLECTION / COMPOSITUM”と、その下に箱ごとにIからXXVのローマ数字が金で印字されています。すなわち、このコレクションは鎖国中であった日本にやってきたシーボルトが、滞在中に収集した標本であることを意味します。しかし、25箱中にはシーボルトの収集品ばかりでなく、シーボルトが亡くなった後に、未亡人よりこのコレクションを入手したマキシモヴィッチのコレクションも収められています。 標本は全部で約2500点ありますが、ほとんどの場合属ごとに、縦37cm, 横23cmの二つ折り紙に収められています。この二つ折り紙の表紙に“Flora Japonica/ Classis./ Ordo. / Tribus”、表紙の上部に“Genus,/Subgenus,/Species,/Japonia”, 右下には“Herbarium Sieboldianum”と、また裏表紙には“Flora Japonica” と印刷されています。つまりこの二つ折り和紙はジーナスカバー(Genus Cover)なのです。 黒インクで属名や種名等を記入したのはシーボルトですが、後にマキシモヴィッチが加筆したものもあります。さらに紙の大きさは同じですが、体裁が多少異なるマキシモヴィッチが作ったカバーもあります。 標本は標本箱別索引のページに示すようにおおよそ科ごとに整理されて各箱に収められています。箱の背表紙の下部にその科名がペン書された小紙片が貼付されていますが、科名の書き手はマキシモヴィッチです。 標本にはラベルやメモが添付されていないものもかなりありますが、シーボルトやマキシモヴィッチの直筆のラベル、メモが添えられた標本も多数あり、さらにはシーボルトと交流のあった日本人研究者の墨筆のメモが添付された標本も多数あって、当時の日本人の向学心を垣間みることができるものばかりです。 このコレクションは正に日本の博物学史上、かけがえのない財産です。 |
著作権:牧野標本館、2004